顧客の信頼を勝ち取るには?|「この人に任せたい」と思わせる営業に必要な安心感の作り方

「商品はいいのに、なぜか売れない」それは、顧客が“安心”を感じていないからかもしれません。営業の成否は、スペックや価格といった商品面だけでなく、信頼や誠実さといった「人としての安心感」に大きく左右されます。では、その安心感はどうやってつくるのか?
本記事では、営業現場で実践できる“安心される営業”の振る舞い方や言葉の選び方を解説します。
「安心感」が営業の武器になる理由
商品より「誰から買うか」が重要
どんなに素晴らしい商品でも、営業担当者に対して不安を感じていれば、顧客は購買をためらいます。逆に、「この人からなら買いたい」と思わせることができれば、多少価格が高くても成約に至るケースも多いのです。
近年では情報があふれ、商品自体の差別化が難しくなってきています。その中で営業パーソン自身が「安心できる存在」であることが、他社との差別化ポイントとして強く作用するようになっています。
安心感が生むリピート・紹介
初回の取引で終わらせず、長期的な関係性を築くことこそ営業の本質。そのためには「またこの人にお願いしたい」と思ってもらえるような、継続的な“安心感”の提供が不可欠です。
顧客にとっての安心とは、「いつでも誠実に対応してくれる」「困ったときに相談できる」「話が通じやすい」といった、“人間的な信頼”の総和です。商品そのものや会社のブランドよりも、「誰が担当するか」のほうが重視される場面も多くあります。
- 契約後のアフターフォローまで丁寧に対応する
- 提案外の課題にも真摯に向き合う
- 顧客の業界ニュースや法改正などを定期的に共有してくれる
こうした姿勢が積み重なって、「あの営業さん、紹介したい」「また相談したい」と思ってもらえるようになり、紹介営業や追加受注のサイクルが回り始めるのです。
つまり、“安心できる営業”であることが、そのまま営業成績の差として現れることになります。
安心される営業の共通点
レスポンスの速さ
些細な問い合わせにも迅速に返信する営業は、「ちゃんと見てくれている」という安心感を与えます。逆に返信が遅かったり、忘れていたりすると、「この人に任せて大丈夫だろうか」と不安を抱かせてしまいます。
メール返信だけでなく、納期や見積りの提出、提案書の修正対応などもスピードを意識することで、「誠実さ」「仕事の正確さ」が伝わります。
約束を守る
「○日までに送ります」「その件、調べてご連絡します」といった約束を守ることは、営業における基本中の基本。しかし、意外にもこれを徹底できていない営業は少なくありません。
小さな約束を確実に守る積み重ねが、顧客の「この人は信頼できる」という感覚につながります。逆に、1回でも約束を破ると安心感が一気に崩れるため注意が必要です。
雑談にも誠実さがにじむ
商談前後の雑談も、実は“安心感”を作る大切な時間です。天気や趣味の話題でも、適当な相づちではなく、「ちゃんと話を聞いてくれている」「覚えてくれていた」という姿勢が伝われば、そこに誠実さを感じてもらえます。
たとえば、「先月おっしゃっていたお子さんの運動会、どうでしたか?」といった一言だけでも、顧客との心理的距離がぐっと縮まります。
初対面で安心感を作るテクニック
第一印象は7秒で決まる
「人は見た目が9割」とも言われるように、初対面の印象は出会ってわずか7秒以内に決まるとされ、その大半を視覚・聴覚などの非言語情報が占めています。
営業においてこの「最初の7秒」を制することは、信頼を勝ち取るための第一関門です。
非言語要素が印象を左右する
- 服装・身だしなみ:TPOに合った清潔感のあるスタイルは「信頼できそう」という印象を与えます。
- 表情:自然な笑顔は、警戒心を和らげ「話しやすい人」と思わせます。
- 姿勢・所作:背筋を伸ばし、落ち着いた動作を心がけるだけで堂々とした印象に。
- 声のトーン・話し方:高すぎず低すぎない落ち着いた声は、安心感を与える武器になります。
「見た目」だけでなく「接し方」も印象を左右する
- アイコンタクトを適度にとることで、相手に関心を向けている姿勢が伝わります。
- 第一声のあいさつは、相手の名前を添えて丁寧に行うと、好印象につながります。
- 名刺交換や所作も雑にならず、丁寧にすることで“ちゃんとしている人”という印象を持たれます。
営業の内容がどれだけ素晴らしくても、初対面で「なんとなく不安」と思われてしまえば、話が進む前にシャットアウトされてしまうことも。
だからこそ、「7秒の勝負」を意識した第一印象づくりは、営業力以前に備えるべき“信頼のベース”と言えるでしょう。
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話す内容よりも“聴く姿勢”
初対面で自己紹介や商品説明に力を入れすぎるよりも、「いかに相手の話を真剣に聴くか」のほうが、はるかに安心感を生みます。
・相づちを打ちながら話を遮らず聴く
・適切なタイミングで要約や確認を入れる
・メモを取りながら聞く姿を見せる
こうした“聴く姿勢”が、顧客に「この人は自分のことをちゃんと理解しようとしている」という好印象を与えます。
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不安を払拭する言葉の選び方
「正直に言うと…」の力
営業ではつい、商品のメリットや強みばかりを強調したくなります。しかし、本当に信頼される営業は“弱み”や“課題”についても正直に伝えることができる人です。
たとえば、「正直に言うと、〇〇の部分ではまだ改善の余地があります」といったように、あえてネガティブな情報にも触れることで、顧客は「この人はごまかさない」「ちゃんと現実を見ている」と安心します。
もちろん、ただ課題を並べるだけでは逆効果なので、「その点については、〇〇の対策を進めています」「△△のような対応でカバー可能です」といった、“正直さ+前向きな解決策”のセットで伝えるのがポイントです。
信頼は「すべてうまくいく」と言われることではなく、「リスクも含めて隠さず話してくれる」という誠実な姿勢から生まれます。
「一緒に考えましょう」の安心感
顧客とのやり取りの中で、すべてがスムーズにいくとは限りません。ときには、要望が難しかったり、条件が折り合わなかったりすることもあるでしょう。そんなときに「それは無理です」「できません」と即座に否定する態度は、相手の信頼を損ねる原因になります。
そこで有効なのが、「どうすれば実現できるか、一緒に考えましょう」という寄り添い型の言葉です。この一言には以下のような効果があります。
- 顧客に主導権を渡すのではなく、並走する姿勢を見せられる
- まだ明確な解決策が見えていなくても、“共に前を向いている”という安心感を与えられる
- 問題解決型のパートナーとして、単なる“売り手”以上の信頼を獲得できる
特に課題が複雑な場合や、顧客自身も悩みを整理しきれていないような局面では、「一緒に考えてくれる」というスタンスは非常に心強く映ります。
営業における「提案」とは、正解を押しつけることではなく、顧客と一緒にゴールを探すプロセスでもあるのです。
まとめ|“この人に任せたい”を引き出す営業の姿勢
営業における「安心感」は、商品力やプレゼン力と並ぶほど重要な武器です。スピーディで誠実な対応、丁寧なヒアリング、等身大のコミュニケーションが、「この人なら任せても大丈夫」と思わせる力になります。
顧客が不安を抱えたままでは、どんなに優れた商品でも売れません。まずは自分自身が“安心できる存在”であることを心がけましょう。その積み重ねが、信頼・成約・紹介へと確実につながっていくはずです。