アウトバウンド営業とインバウンド営業の違いとは?成果を出す方法と使い分け方

「アウトバウンド営業とインバウンド営業の違いとは?成果を出す方法と使い分け方」を紹介するバナー画像

営業活動を大きく分けると、「アウトバウンド営業」と「インバウンド営業」の2つがあります。どちらも顧客に商品やサービスを提案するという点では同じですが、アプローチの方向性・顧客との関係性・成果の出し方は大きく異なります。

一言で言えば、

  • アウトバウンド営業=こちらから仕掛ける“攻めの営業”
  • インバウンド営業=相手から問い合わせを受ける“受けの営業”

それぞれの手法には明確な強みと弱みがあり、目的や業種によって使い分けが必要です。

本記事では、両者の違いをわかりやすく整理したうえで、営業成果を最大化するための「使い分け方」「組み合わせ方」を実践的に解説します。

編集チームのアバター
目次

アウトバウンド営業とは?

定義と概要

アウトバウンド営業とは、企業側から積極的にアプローチを行う営業手法です。代表的な手段としては、次のようなものがあります。

  • テレアポ(電話営業)
  • 飛び込み営業
  • DM(ダイレクトメール)
  • リスト営業・架電営業
  • セミナー・展示会でのアプローチ

つまり、「まだ自社を知らない相手」に対して、こちらから接触して関係を築く営業です。

メリット

  1. 短期間で見込み顧客を増やせる
    自ら行動を起こすため、リード数(見込み客数)を早く増やせます。
  2. 新しい市場を開拓できる
    待っているだけでは出会えない顧客層にもアプローチ可能。
  3. 営業力が直接的に成果に反映される
    トーク・提案・行動力がダイレクトに結果に結びつくため、成長速度が速い。

デメリット

  1. 断られる確率が高い
    相手にとっては“突然の営業”なので、興味を持たれにくい。
  2. 効率が悪くなりやすい
    見込みの薄い顧客にもアプローチするため、時間・コストがかかる。
  3. 担当者によって成果の差が大きい
    属人的なスキルに依存しやすく、チーム全体で成果を均一化しにくい。

アウトバウンド営業の代表的な手法

スクロールできます
手法特徴向いている商材
テレアポ電話を使って直接アプローチBtoBサービス、保険、不動産
飛び込み営業直接訪問して提案地域密着型商材、建築、設備関連
DM・メール営業リストをもとに送付低単価・比較的検討期間の短い商材
SNSアプローチLinkedInやXなどを活用IT・スタートアップ系企業
イベント・展示会名刺交換を起点に提案法人営業・製造・IT商材など

インバウンド営業とは?

定義と概要

インバウンド営業とは、顧客の方から問い合わせや資料請求などで接触してくる営業手法です。つまり、企業側は顧客が来る“仕組み”を整え、受注へつなげていくスタイルです。

主な手法としては以下のようなものがあります。

  • Webサイト・SNS・広告による集客
  • セミナーやホワイトペーパーの配布
  • 資料請求・お問い合わせフォーム
  • コンテンツマーケティング
  • リスティング広告・SEO対策

顧客が自ら情報収集を行い、興味を持ってアクションを起こした時点で接点を持つため、ニーズの高いリードが多いのが特徴です。

メリット

  1. 高い成約率が見込める
    顧客側が「興味を持っている」段階で接触できるため、成約率が高い。
  2. 効率的な営業活動ができる
    温度感のある見込み客のみ対応すればよいので、無駄が少ない。
  3. ブランディング効果が高い
    情報発信を通じて信頼を構築できるため、企業全体のイメージ向上にもつながる。

デメリット

  1. 仕組み構築に時間がかかる
    サイト・広告・マーケティングなど、成果が出るまでに一定期間を要する。
  2. リード獲得が競合と被りやすい
    同業他社との比較検討の段階で接触するため、差別化が必要。
  3. 営業力よりマーケティング力が重要になる
    リードを増やすには、SEO・広告運用・SNS発信などのノウハウが不可欠。

インバウンド営業の代表的な流れ

ステップ内容
①集客Web・広告・SNSなどで興味を引く
②リード獲得資料請求や問い合わせフォームへ誘導
③リード育成メール・コンテンツで関係性を維持
④商談営業担当が課題ヒアリング・提案
⑤成約クロージング・アフターフォロー

インバウンド営業とは?アウトバウンドとの違い、手法やメリットを徹底解説|UPWARDブログ

アウトバウンド営業とインバウンド営業の違い

両者を比較すると、“顧客との出会い方”と“関係構築のプロセス”が大きく異なります。以下の表で整理してみましょう。

スクロールできます
比較項目アウトバウンド営業インバウンド営業
主体企業側が動く顧客が動く
アプローチ方法電話・訪問など直接的Web・広告・SNSなど間接的
リードの温度感低い(興味前段階)高い(興味・検討段階)
成約までのスピード短期的(行動量次第)中〜長期的(育成重視)
必要なスキルトーク力・行動力分析力・提案力・マーケ思考
コスト人件費が中心広告・コンテンツ制作費が中心
向いている業種BtoBサービス、保険、不動産SaaS、教育、BtoC商材など
成果の測定架電数・商談数・成約数リード数・CV率・LTVなど

このように、「どちらが優れているか」ではなく、「どちらをどの目的で使うか」がポイントになります。アウトバウンドは「新しい顧客を広げる力」、インバウンドは「見込み顧客を育てる力」と言えるでしょう。

アウトバウンド営業で成果を出す方法

アウトバウンド営業は、断られることが多く非効率に感じやすいですが、正しい戦略を取れば大きな成果を生み出せます。ここでは、アウトバウンドで結果を出すための実践ポイントを紹介します。

1. ターゲットリストの精度を上げる

成功するアウトバウンド営業の第一歩は、「誰に電話するか」「どの企業に訪問するか」の精度です。数を打つよりも、“見込みの高いリストを厳選する”ことが成果に直結します。

具体例:

  • 過去の契約実績から「共通点」を分析(業種・規模・課題)
  • 商談履歴から「成約確率の高い顧客像」を抽出
  • 業界データベースやSNS(LinkedInなど)で最新情報を収集

「数撃てば当たる営業」から、「データで狙う営業」へシフトしましょう。

2. トークスクリプトを“自然な会話”にする

テレアポや訪問営業では、「台本読み」にならず、相手の反応に合わせて会話できるかが勝負です。

  • 悪い例:「御社で〇〇を導入していただけませんか?」
  • 良い例:「御社のように△△の業界で、最近□□をお使いの企業が増えていますが、活用されていますか?」

相手の課題に興味を示しながら、“情報収集→提案の布石”を打つイメージが理想です。

3. 継続フォローで信頼を育てる

初回で契約に至るケースはごく一部。大半は「いまは検討していない」と言われます。しかし、“タイミングが変われば契約に至る”のが営業の本質です。

例:「半年後にシステム入れ替え予定です」
→ 3か月後に軽く情報提供の連絡を入れる

継続フォローを「迷惑」ではなく「サポート」として感じてもらう仕組みを作ることが重要です。

4. 「数」より「質」を重視するKPI設計

アウトバウンド営業は“行動量”が基本ですが、単に「架電数」「訪問数」だけを追っても成果は伸びません。重要なのは、「どんな相手に・どんなトークをしたか」までをデータ化することです。

KPI設定の例:

スクロールできます
指標内容改善の方向性
架電数1日50件リストの質を見直し、ターゲットを絞る
商談化率10%トークスクリプトの見直し
成約率15%提案資料・クロージング改善
リピート率30%フォロー体制・顧客満足度アップ

単なる“数字の多さ”ではなく、質の高い接触を増やす仕組みを意識すると、チーム全体のパフォーマンスも安定します。

5. デジタルツールを活用して効率化

現代のアウトバウンド営業では、テクノロジー活用が必須です。CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援ツール)を導入することで、属人的な営業活動をデータドリブンに変えられます。

活用ツールの例:

スクロールできます
ツール機能目的
Salesforce / HubSpot顧客データ・進捗管理営業の可視化
List Finder / BizHintリード情報取得精度の高いリスト作成
ChatGPTなどAIアシスタントスクリプト作成・トーク練習トーク精度向上
Zoom / Teamsオンライン商談行動量の拡張

ツールを使うことで、単純作業を減らし、「提案に時間を使う」営業体制が実現します。

インバウンド営業で成果を出す方法

インバウンド営業は“受け身”に見えて、実は仕組みとスピードの勝負です。問い合わせをもらった時点で勝負は始まっています。

1. 問い合わせ後の「即レス」が命

インバウンド営業で最も大切なのは、スピード対応。米国の調査では、問い合わせから5分以内に対応した企業は、1時間後に対応した企業に比べて約9倍成約率が高いというデータもあります。

例:「お問い合わせありがとうございます。まずは資料をお送りします。」
→ 返信をAIチャットボットで自動化するのも有効。

「返信の速さ=信頼感」となるため、初動対応の設計が成果を大きく左右します。

2. 顧客の“課題理解”を最優先にする

インバウンド営業では、すでに情報収集を終えた“意識の高い顧客”が多くなります。この段階で強引な提案をすると、一気に離脱されるリスクがあります。

成功するアプローチ:

  • 「今回お問い合わせいただいた背景をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
  • 「現在、どのような課題を解決したいとお考えですか?」

提案よりもまず“聞く”営業を徹底することで、信頼関係を構築しやすくなります。

3. コンテンツ連動で“リード育成”を行う

インバウンド営業の本質は、見込み客との関係を育てる(リードナーチャリング)ことです。一度問い合わせを受けたら、それで終わりではなく、継続的に有益な情報を届けて関係を維持します。

ナーチャリング施策の例:

  • 月1回のメールマガジン(業界情報・活用事例など)
  • ホワイトペーパーや事例集の送付
  • SNSでの情報発信・コミュニティ構築
  • 無料ウェビナー・勉強会への招待

「売り込む」ではなく、「役立つ情報を提供する」姿勢を見せることで、顧客が“買いたいタイミング”で思い出してもらえる営業になります。

ナーチャリングとは?基礎から成功のポイントまで徹底解説! | Urumo!

4. 営業とマーケティングの連携がカギ

インバウンド営業では、営業単体ではなく、マーケティング部門との連携が成功の鍵です。マーケ側がリードを獲得し、営業側が商談化する流れをスムーズにする必要があります。

連携の具体例:

スクロールできます
連携項目内容
リード情報共有MAツールで獲得情報をリアルタイム共有
顧客データ統合CRMで行動履歴・興味関心を可視化
反応分析メール開封率・閲覧ページから提案内容を最適化
フィードバック営業から「質の高いリード像」をマーケへ還元

これにより、「量ではなく質の高いリード」を営業が受け取る仕組みが完成します。

5. 提案時は「比較優位」を明確にする

インバウンド営業では、顧客が複数社を比較していることが前提です。そのため、提案時には「他社との違い」を明確に伝える必要があります。

比較提案のコツ:

  • 「他社様では△△の機能が充実していますが、弊社は□□に強みがあります。」
  • 「○○業界の導入実績は現在100社を超えており、同業他社様でもご評価いただいています。」

「比較される前提」で会話を設計することが、インバウンド営業成功の秘訣です。

使い分け方|業種・商材・フェーズ別の最適戦略

「アウトバウンドとインバウンド、結局どちらを使えばいいの?」この疑問に対しては、業種・顧客層・営業フェーズによって最適解が異なります。

1. 業種・商材での使い分け

スクロールできます
業界・商材向いている営業手法理由
保険・不動産・BtoBコンサルアウトバウンド個別提案が中心。信頼構築がカギ。
SaaS・ITツール・教育インバウンド比較検討型で、デジタル接点が多い。
広告・人材・代理店ビジネス両方の併用市場拡大とリピート顧客の両立が必要。

2. 営業フェーズでの使い分け

スクロールできます
フェーズ有効な手法補足
新規開拓アウトバウンド市場拡張・顧客認知を獲得
見込み顧客育成インバウンド関係維持と信頼構築
リピート・アップセルインバウンド中心顧客フォローと満足度アップ

両方を段階的に使い分けるハイブリッド営業こそ、最も成果を出す現代的アプローチです。

まとめ|「攻め」と「受け」を融合させる営業戦略へ

営業の世界では、もはや“アウトバウンド or インバウンド”の二択ではありません。両者を掛け合わせることで、最も強力な営業体制を築けます。

本記事の要点まとめ

  • アウトバウンド=攻める営業(即効性・行動力が武器)
  • インバウンド=待つ営業(信頼構築・効率性が武器)
  • 成果を出すには「リスト精度」「即レス」「ナーチャリング」が必須
  • マーケティング連携とデータ分析が成功のカギ
  • 目的・フェーズ別に使い分けることで営業ROIを最大化できる

営業活動の本質は、“相手に価値を届けること”そのためには、「自ら仕掛ける力(アウトバウンド)」と「引き寄せる仕組み(インバウンド)」の両立が欠かせません。

どちらかに偏らず、時代に合わせて変化できる営業組織こそ、これからのビジネスを勝ち抜く真の「セールスプロフェッショナル」と言えるでしょう。

目次